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A Precious New Year(4)

 ラカムが眉間に皺を寄せると、ノアはばつの悪そうな顔をした。
「僕にとって……睡眠は娯楽なんだ」
「……言ってる意味がよくわかんねえんだが」
「ええと……眠らなくても平気なんだ。カードゲームと同じさ。やってもやらなくてもいい、ということ」
「はあ……とてもそうは見えねえぞ」
「眠気で行動が制限されるようじゃ、急な艇の故障に対応できないだろう?」
「そういうときは一気に目が覚めるモンだろ」
「そうか。君は、そうなんだね」
 ノアは、曖昧な微笑みを浮かべた。ラカムの言葉は、ノアには届いていないようだ。
 いつも、ノアは壁を作る。

――僕は星晶獣だから、人間の君とは違う。

「なあ」
「うん?」
 ラカムは、言葉を必死に探し選ぶ。
 人と交わり、人のように生きること。
 それが、星晶獣として――覇空戦争の時代から少なくとも五〇〇年以上、『人ではないもの』として生きてきたノアにとって、難しいことではないと、果たして言えるだろうか。

(これは、俺のエゴだ)

「ラカム、どうしたんだい?」
「……っ」
 不安げに覗き込んでくる瞳にハッとし、考えすぎて言葉に詰まっていたことに気づかされた。
 どうしたらいいかわからない。何を言えばいいのか――ただ。
「じゃあよ、今年は寝正月にしようぜ」
 ただ、ノアに休んで欲しい。それだけは譲れなかった。たとえ、根本の問題が何一つ解決しなくとも。
「僕に睡眠は……」
「不要ってか。でも、娯楽なんだろ? だったら楽しい正月にすりゃあいい」
 ノアは困惑しているようだが、ラカムには引き下がらない。
「お前が疲れねえって言ってるのは体だけだろ? でも心だって疲れるんだからよ。眠れば心の疲れだって少しはよくなる」
 そう言ったものの、ノアの肉体は疲れないという話をラカムは信じていない。彼の目の下にはひどい隈がある――疲れていないはずがないのだ。疲れているのが体なのか心なのかはわからないが。
「嫌なことがあったときには寝るに限る。寝てる間はなんにも考えなくていいからな」
「うーん……」
「いいから寝ろっ!」
「うわっ!?」
 ラカムはノアの矮躯をひょいと持ち上げて肩に担ぎ、背中からベッドに降ろした。
「お前はこーんなに小せえんだから、疲れるに決まってるだろうが」
 ノアを掛け布団の中に押し込む。彼がベッドから出られないよう、ラカムも靴を脱いでベッドに寝転がって、腕の中にノアを閉じ込めた。
「ラ、ラカム……!?」
 ノアは温かい。心臓の鼓動も伝わってくる。
 においもある。油のにおい。船大工がまとうにおいだ。白く清澄な姿には似合わないようにも思えるが、そのにおいこそがノアに最もふさわしい。
「お前も、生きてるんだからよぉ……」


続く





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2017-02-14
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