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A Precious New Year(2)

 酔いつぶれた団員が転がっている廊下を静かに歩き、ノアの部屋へ向かう。もう日が変わってから随分経っている。もう寝ているだろうかと思いつつも、ラカムは尋ね人の部屋のドアを叩いた。
「ラカム?」
「うおっ、なんでわかった?」
「開いてるから入っていいよ」
 顔も見ていないのに言い当てられたことを驚きながら、ラカムはそっと部屋に滑り込んだ。
「返事があるとは思わなかったぜ」
「返事が欲しくてノックしたんじゃないのかい?」
 部屋の中は暗かった。明かりは、ランタンひとつと、ノア自身の放つ白く淡い光だけだった。
「まあ、そうだけどな。しかし起きてるとは思わなかったぜ。寝なくて大丈夫なのか?」
「ラカムこそ」
 ノアは椅子に座ったまま、身体をこちらに向けた。
「疲れてないのかい? 前みたいに、カフェインを摂りすぎていたりは?」
 小言をちくちくと言うノアに、ラカムは頭を掻きながら答える。
「ったく、最近は気をつけてるよ。お前に心配かけたくねえしな」
「ふふ、殊勝な心がけで結構。それで、どうしたんだい?」
「どう……って言われてもな。特に何もねえんだけど」
「何もない?」
「迷惑か?」
「いや……」
 ノアは少し言葉を濁した。
「そんなことはないよ」
「あー、悪ィ。邪魔なら退散するからよ」
「待って」
 ラカムが部屋を出ようとすると、ノアは椅子から立ち上がって、ラカムの袖を指先でつまんだ。
「迷惑だなんて、そんなことはない。ただ驚いたんだ。君が、何の用事もないのに、僕のところに来るなんて」
「そ、そうかあ?」
「いつも君は忙しそうにしているから……暇な時間というのは、貴重なんじゃないのかい」
 背の低いノアがラカムの顔を見るときは、必然的に見上げる形になる。澄んだ色の瞳に上目遣いで見つめられると、ラカムはそわそわと落ち着かない気持ちになる。ノアに見られるとき、ラカムもまたノアを見る。そのとき、どうしたって、ノアがいつも帯びているほのかな光が、キラキラと輝いているのが目に入る。だから、落ち着かないのだろう。
「つーかよ、お前はなんで起きてんだ? ひとりで部屋にこもって起きてるくらいなら、さっさと寝ちまったほうがいいだろ」
「そうだね、ラカムの言うとおりだ」
 ノアの手がラカムから離れる。視線が外される。ラカムはなぜか焦りを感じて、言葉を探した。
「あー、あの、あれだ。もしかして、初詣に行くつもりだったとかか?」
「え?」
「初詣行って初日の出見て、それから寝るのか?」
「初詣か……ラカムは、行くのかい?」
「そのつもりだが、お前も行くんじゃねえのか?」
「どうしようかな」
「なんだあ? 去年は張り切って、朝っぱらから俺のこと起こしに来たくせによ」
「おや、そうだったかな」


続く



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2017-01-27
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